【6月3日 AFP】米議会上院は2日、国家安全保障局(National Security AgencyNSA)による通話記録の大規模収集活動を禁じる画期的な米国自由法(USA Freedom Act)案を賛成67反対32の賛成多数で可決した。 米下院は既にこの法案を可決しており、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が上院の可決後すぐに署名してこの法律は成立した。

 2001年9月11日の米同時多発テロ事件以降、物議を醸してきた米政府の政策が見直され、NSAの監視活動が制限されることになる。オバマ大統領はツイッター(Twitter)に「上院で米国自由法案が可決されたのは喜ばしい。これによって市民の自由と国家の安全が保障される」「速やかに署名する」と書き込んでいた。

 この法律により、NSAはテロとは関係ない不特定多数の市民の通話記録──電話番号や電話をかけた日時など──を収集、保存できなくなる。 また通話記録を保存するのはNSAではなく通信会社となり、米当局が通信会社から通話記録を取得する場合は、秘密裁判所である外国情報活動監視裁判所(Foreign Intelligence Surveillance CourtFISC)が特定の個人やグループについて発行する令状が必要になる。

 法案可決を受けてNSAのエドワード・スノーデン(Edward Snowden)元職員は「歴史的な出来事」と評価した。国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)がロンドン(London)で開いたイベントにロシアから動画中継で参加したスノーデン元職員は、データの大規模収集を終わらせる措置は「まだ不十分」だが「重要なステップ」だとコメントした。

 スノーデン元職員が2013年にNSAの大規模な通話記録収集活動を暴露したことをきっかけにNSAの情報収集のあり方が論争を呼び、スノーデン元職員は情報収集を支持する人々からは犯罪者、人権擁護を訴える人々からはヒーローとみなされてきた。

 共和党議員の間では意見が分かれ、2016年の大統領選に出馬を表明している同党のランド・ポール(Rand Paul)上院議員が改革案に反対したことから「愛国者法(Patriot Act)」の規定のうち、米国民の通話記録収集、通信傍受を逃れるために複数の電話回線を使う容疑者の通信傍受、過激派組織に属さない容疑者の監視を認める規定が6月1日午前0時に失効していた。米国自由法では後者の2規定が再承認される。(c)AFP