【5月27日 AFP】モザンビークに生息する野生のゾウは、過去5年間で半数近くが、象牙を狙う密猟者らによって殺されたことが、26日に発表された米野生生物保全協会(Wildlife Conservation SocietyWCS)の調査で分かった。

 野生ゾウの個体数が2万頭あまりから約1万300頭へと、48%激減したことが、モザンビーク政府支援の調査で判明したとWCSは声明で述べている。

「この個体数減少は、同国の最も重要なゾウ個体群で、ゾウの密猟が横行していることに起因する」と声明は指摘する。ニアッサ国立保護区(Niassa National Reserve)を含む北部の辺境地域での被害が最も大きく、同地域で殺害されたゾウの頭数は全体の95%を占め、生息数は約1万5400頭から約6100頭に減少した。

■国境を越えた密猟、統治の問題も

 同保護区を管理するWCSモザンビーク支部のアラステア・ネルソン(Alastair Nelson)支部長によると、この数字は、隣国タンザニアから密猟者が侵入していることによって説明がつくという。同国ではすでに、野生ゾウの個体数が大幅に減少している。

 ネルソン支部長は、AFPの取材に「重大な問題は、統治に関するものだ。北部は人里離れた地域で、統治が十分に行き届いておらず、常に不正行為の温床となってきた」と指摘。「地域警察や国境警備隊の中には、賄賂を受け取ったり、自分たちの銃器を貸し出したりしている者もいる」と付け加えた。

 モザンビークの一部地域で行われた上空からの調査では、目視確認されたゾウの半数近くがすでに死んでいることが明らかになった。

 象牙はアジアで珍重され、彫像や宝飾品に加工される。アフリカ全体では、象牙取引の需要を満たすために違法に殺害される野生ゾウの数は毎年最大3万頭に上ると推定されている。NGO「国境なきゾウ保護活動(Elephants Without Borders)」の生息数調査によると、現在アフリカに生息する野生ゾウの個体数は、100年前の数百万頭から減少して約47万頭だという。(c)AFP/Adrien BARBIER