【5月12日 AFP】一般的なアイドルの追っかけ層に彼女たちは当てはまらないかもしれない。だが韓国の「アジュンマ(おばさん)」ファンたちがKポップアイドルに寄せる情熱は10代のファンにも劣らない。

 ソウル(Seoul)に住む主婦、イ・ウヨンさん(46)の自宅は、壁という壁に韓国の人気男性グループ「BIGBANG(ビッグバン)」のポスターや写真が張りめぐらされている。10年来の追っかけであるイさんの家は、まるでBIGBANGの「聖地」のようだ。

 5人のメンバーの母親に等しい年齢のイさんだが、そんなことは気にもとめない。「私のような40代のファンはたくさんいる。みんな30代のときにBIGBANGの追っかけを始めたのよ」。中でもイさんが特に好きなのがリーダーのG-DRAGON(ジードラゴン)だ。作詞作曲もこなし、ソロでも活躍している。

 彼らのコンサートやイベントに行き始めた頃、周囲はゆうに20歳は年下の少女たちばかりで「恥ずかしかった」と語るイさん。だが徐々に同年齢ほどのファンたちが見つかり、すぐに仲良くなった。「最近では月に1回、仲良し5人で集まってBIGBANGとG-DRAGONの話で盛り上がるの」

 イさんの夫のパク・テギュさんは、そんな妻に理解を示しBIGBANGへの献身ぶりに感心しつつも、家の窓にまでポスターを張るのは困りものだと苦笑した。「夏でさえ、まったく日差しが入ってこないんですよ」

■Kポップ創世は1992年

 Kポップ現象の起源と言われるのが1992年のヒップホップトリオ「ソテジワアイドゥル(Seo Taiji and Boys)」のデビューだ。洋楽のヒップホップに韓国語の歌詞をのせた彼らのラップは、民主化から間もない当時の韓国で新世代の若者たちの心を直(じか)に捉えた。

 続いて「H.O.T」に代表される「アイドル第1世代」の波が押し寄せる。熱く献身的なファン層を築いた第1世代のアイドルたちが、世界的なKポップ人気をけん引する現在の男性アイドルやガールズグループのモデルとなった。

 その後も韓国のアイドルグループは時代とともに発達してきた。しかし基本は変わらない――若さ、魅力的なグループ性、磨き抜かれたファッションセンス、そして一糸乱れぬダンスだ。

 最近では思いが強すぎてアイドルの自宅にまで押し掛けるストーカーまがいのファンも現れている。こうした「サセン」と呼ばれる過激なファンの多くは13~17歳ぐらいの少女たちだ。