■腕時計型端末で全文を読む?

 南カリフォルニア大学(University of Southern California)でモバイルジャーナリズムを教えているロバート・ヘルナンデス(Robert Hernandez)氏は、ウェアラブル端末の台頭により、「迅速で、一人一人にカスタム化でき、常にオンの状態の」ニュースメディアの新しいプラットフォームが登場したと言う。ヘルナンデス氏はAFPに対し、「アップルウオッチのおかげでより迅速に情報にアクセスできるようになる」と語り、ニュース会社にとってこの変化は「人間の体の一部になる新しい機会」だと述べた。

 ヘルナンデス氏は、「ツイッター(Twitter)が登場した時『140字でジャーナリズムなどできない』と言われたものだが、今や不可欠なツールになっている」と指摘し、報道各社はいずれスマートウオッチの最適な活用法を見つけ出すだろうとの見方を示した。

 スマートフォンとタブレット端末向けにニュースアプリを提供している仏企業ニュースリパブリック(News Republic)の最高経営責任者(CEO)で、米サンフランシスコ(San Francisco)を拠点に活動しているジル・レモン(Gilles Raymond)氏は、スマートウオッチは各種のニュース源の中で重要な地位を占めるようになるだろうと述べ、アップルウオッチはその大きな試金石になると語った。

「ニュース速報には誰もがすぐにアクセスしたいだろう。その点で時計は理想的なツールだ」と言うレモン氏は、スマートフォンやタブレットを1日100回見ている人がアップルウオッチを身に着ければ1日に300~500回見るようになると予想。「習慣性は極めて高いだろう」と指摘した。

 レモン氏は、今のところスマートウオッチで見られるニュースは限定されているが、ニュース企業やニュースアプリは本格的にアップルウオッチに対応しようとしていると言う。

「問題は、人々がアップルウオッチで記事の冒頭だけを読んで続きはスマートフォンで読むのか、アップルウオッチで記事全文を読むのかだ。どちらのシナリオにも実現する可能性はあるが、腕時計(型端末)で全文を読むのが一般的になるのではないかと私は思っている」とレモン氏は語った。

 さらにレモン氏は、ニュース企業は小さな画面で見やすいコンテンツを開発しなければならないが、そうすることで「読者との関係を築く新しい方法」を手にすることができるかもしれないとの考えを示した。