【4月10日 AFP】(一部更新)パキスタン当局は、2008年にインド・ムンバイ(Mumbai)で166人が死亡した同時テロの首謀者とされるザキウルレフマン・ラクビ(Zaki-ur-Rehman Lakhvi)被告を9日夜、保釈した。パキスタンの首都イスラマバード(Islamabad)近郊のラワルピンディ(Rawalpindi)にあるアディヤラ刑務所(Adiyala Prison)関係者が10日、明らかにした。インドで起きたテロ事件の黒幕とされる人物をパキスタン当局が保釈したことで、両国の関係がさらに悪化する恐れがある。

 3日間におよんだムンバイ同時テロは、パキスタンを拠点とするイスラム過激派「ラシュカレトイバ(Lashkar-e-TaibaLeT)」の犯行とされている。同組織の福祉部門「ジェマテダワ(Jamaat-ud-DawaJuD)」の幹部は、ラクビ被告が保釈されたとの情報が事実であることを認め、AFPの取材に「ザキウルレフマン・ラクビは刑務所から出て、自由の身となり、安全な場所にいる。保安上の理由から正確な居場所を伝えることはできない」と語った。

 ラホール高等裁判所(Lahore High Court)は9日、200万ルピー(約240万円)の保釈金を条件にラクビ被告の保釈を認めた。

 同事件ではラクビ被告の他、数人がパキスタンで起訴されているが、5年以上にわたって裁判はほとんど進展していない。

 ラクビ被告をめぐっては、昨年12月にパキスタンの裁判所が保釈を許可した後、同国政府が次々と勾留命令を出したが、裁判所がこれを軒並み無効とし、事態が紛糾していた。

 こうした状況に対しインド政府は、パキスタン側がムンバイ同時テロ事件を計画し、組織した被告らについて、身柄を引き渡すことも裁くこともしないとして長らく非難している。(c)AFP