■進む高齢化と前途有望な「熟年」ジャンル

 高齢化が進む日本では、65歳以上の高齢者が全人口の4分の1に当たる約3200万人に上るとされる。そして低い出生率や平均寿命の延びといったことを背景に、2060年までに高齢者人口の比率は40%に達すると見られている。

 こうした統計をみても「熟年」というジャンルが有望な市場であることは驚くに当たらない。専門家によると、年間売上高の20~30%は高齢者たちを主役に据えた作品によるものだという。

 このジャンルの人気に火が付いたのは、AV男優の徳田重男(Shigeo Tokuda)さん(80)の登場によるところが大きいと言っても過言ではないだろう。徳田さんがこれまでに出演した作品は数百本を下らないとされ、自分の孫だったとしてもおかしくない若い女性から、自分よりも2歳年下の同年代の女性まで、共演した人の年齢層は幅広い。

 熟女AV作品を数多く手掛けてきた木村文昭(Fumiaki Kimura)監督によると、このジャンルは以前から存在しているが、ここ10年間はコンスタントに作品がリリースされていると語る。また高齢者同士のアダルトビデオが見られる理由としては「やっぱりリアルというか、もちろん夫婦ともに年を取りますし、その辺だったりしますかね」と述べ、そこには親近感があることを示唆した。

 そして「年配の人は自分に重ねて見れるし、若い人は美男美女がエッチしているのに飽きちゃってる。お年寄りと女の子がやってるとか、そういう隠れた性癖じゃないですけど、マニアックなものが見たいのだと思います」と話し、性癖は人それぞれで年配同士のセックスが見たい人も少なからずいるとの考えを明らかにした。(c)AFP