【3月20日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が18日にチュニジアの首都チュニス(Tunis)の博物館を襲撃した事件について、地元の観光ガイドが19日、AFPに事件当時の様子を語った。博物館に関する知識を頼りに約30人の観光客の避難を手助けしたという。

 国立バルドー博物館(National Bardo Museum)への襲撃事件ではこれまでに外国人観光客20人とチュニジア人1人の計21人が死亡。ISは19日に犯行声明を出し、さらなる攻撃を予告している。

 1970年からチュニスで観光ガイドをしているハマディ・ベン・アブデサラム(Hamadi Ben Abdessalam)さんはAFPに対し、事件が起きる30分ほど前の18日午前11時30分(日本時間同日午後7時30分)ごろ博物館の3階にいたと当時を振り返った。そこで銃声を聞いたという。

「最初私は襲撃事件だとは思わず、お客さんたちに天井から何かが落ちたのだろうと言ったんだ。しかし、(お客さんたちは)私に言った。これはテロ攻撃だと」。アブデサラムさんは薬きょうを目にしてようやく、自分たちがいかに深刻な状況に置かれているかを認識した。「全員が膝をついて、パニックになった」

 その後、館内を熟知している60代のアブデサラムさんはその場所の右側にある非常口に向かって進み始めた。後には30人ほどの観光客が続いた。アブデサラムさんは事件について、「チュニジアでは初めてのこと。誰もこんな事件を予測していなかった」と話した。

 死亡した観光客のうち9人はクルーズ船「MSC スプレンディダ(MSC Splendida)」の乗客だった。アブデサラムさんが案内していたイタリア人のグループもこの船で旅をしていた。

 事件後、案内していた観光客らと共にチュニス北部のラグレット(La Goulette)港に停泊中のクルーズ船に戻ったアブデサラムさんは、他の乗客たちから拍手と歓声で迎えられたという。「皆が私たちを抱きしめてくれた。誰もが涙を流していた。ガイドも、警官もだ。おかげでパニックから解き放たれた」(c)AFP