■「前例のない試練」

 最も大きな影響を受ける可能性が高い国はドイツだ。同国では、太陽光による発電能力が4000万kWで、2014年の電力消費量の18%が太陽光発電で賄われた。この他、日照量が多いイタリア(太陽光発電能力2000万kW)やスペイン(同670万kW)にも大きな影響が及ぶ恐れがある。フランス(同570万kW)にも大きな太陽光発電産業がある。

 欧州全土の電力各社は、日食当日への対応チームの強化を進める他、一部世帯で停電が発生する事態を回避するための特別措置を導入。通常運用時の電力需要増加や電力生産減少を補うのに使われる1日の予備電力を増強している。例えばフランスでは、予備電力を通常の100万kWから170万kWに増やす予定だ。

 また、太陽光発電以外の発電施設も待機態勢を整えている。例えばフランスの水力発電ダムなどは、必要に応じて迅速に発電を行えるようになっている。ドイツでは、エネルギー・ミックスにおける太陽光の部分の減少を補うため、天然ガスと石炭による火力発電で電力生産量を増やすことが可能かもしれない。

 ENTSO-Eは「今回の日食は欧州の電力システムにとって前例のない試練となる」と結論付けている。(c)AFP/Marie HEUCLIN