【3月17日 AFP】収賄疑惑の渦中にあるタイのタンマガーイ寺院(Dhammakaya Temple)が16日、約2000万ドル(約24億円)の寄付金を返還することを明らかにした。

 首都バンコク(Bangkok)郊外に超近代建築の広大な施設を持つタンマガーイ寺院は、タイで最も経済的に豊かな寺院とみなされているが、横領で起訴されたクロンチャン信用協同組合(Klongchan Credit Union Cooperative)の元会長から受け取った寄付金を返還すると発表した。これによって協同組合側は、寺院を告訴しないことで合意した。返還分には信者からの献金が充てられるという。

 同組合会長の横領とタンマガーイ寺院の収賄に関する疑惑はここ数週間にわたり、仏教国タイの世論を激怒させ、寺院の寄付金の集め方や仏教の商業化をめぐる懸念も論じられている。

 この問題の中で明るみに出たのが、輪廻(りんね)転生を信じる信者に、寄付金の割合は来世での幸運の大きさに比例すると説き、多額の寄付を奨励している実態だ。今回の問題をきっかけに宗教施設の規制強化を求める声が上がっている。

 タイでは近年、薬物摂取やアルコール、ギャンブル、売春など、僧侶の醜聞が続いている。13年9月には、プライベートジェットで旅行したとして僧位をはく奪された僧侶が、ポルシェやメルセデスベンツといった高級車など80万ドル(約9700万円)近い資産を押収された。(c)AFP