【1月29日 AFP】昨年11月から続くタイの反政府デモに、黄色の法衣をまとった1人の僧侶が合流している──。仏教国であるタイではこれまで、聖職者による政治参加が慣例的にタブー視されてきた。

 首都バンコク(Bangkok)で集会の壇上に立ち、声援を送る参加者に「腹黒い」政府と闘おうと呼び掛けるのは、仏僧のルアン・プー・プッタ・イサラ(Luang Pu Buddha Issara)師(58)だ。野党が牽引する反政府運動で中心的人物として浮上し、祈りの集会を設け、群衆に向けて演説をしている。反政府派を主導するステープ・トゥアックスバン(Suthep Thaugsuban)元副首相もイサラ師に敬意を表し教えを乞うている。イサラ師は自らが率いるデモ拠点も持っている。

「シナワット一族に運営されている政府には、道徳も倫理もまったくない。彼らは腐敗に満ち、不正が起きることを許す。そして毎日嘘をついている」というイサラ師は語気を強める。

 政府だけでなく、仏僧による悪行や贅沢な暮らしぶりも率直に批判してきたイサラ師は、AFPの取材で「宗教界には俗世の人々に対し、何をすべきか、するべきでないかを諭す義務がある」と述べ、デモの先頭に立つ自分の役割を正当化した。