■バースデーケーキで御用

 逃亡したゴメス容疑者は、自身の敵を閉じ込める監獄として使用していた鉄の扉付きの洞窟に身を潜めた。

 彼が15日間身を隠したじめじめした洞窟は、鍾乳石があり、コウモリがすむ泥のトンネルで、奥に行くと高さが50センチほどしかない場所もある。地面には、酒瓶やプラスチックのカップが散乱していた。

 捜査当局は4か月前、ゴメス容疑者がモレリアの山中に潜伏しているとの確信を得た。同容疑者は20代の妻ルル(Lulu)さんと3人の子どもと共に民家で生活していた。同容疑者は他の複数の女性たちとの間にも子どもを37人もうけたとされる。同容疑者の誕生日である先月6日にルルさんがバースデーケーキを持ち帰ったことで、当局は同容疑者がモレリアにいるのではないかという疑いを裏付けることができた。

 ゴメス容疑者は先月27日に逮捕された時、腹心の部下らと共に身を隠す新たな潜伏先を探す意向だった。かつて「捕まるぐらいなら死んだ方がまし」と豪語していた同容疑者だが、逮捕時に銃の発砲は一度もなかった。

 今月3日に撮影された映像は、ゴメス容疑者の最後の動画になるかも知れない。民放テレビのテレビサ(Televisa)は、警察の装甲車の中で手錠をかけられた同容疑者が弟のフラビオ(Flavio)容疑者に話しかけている動画を放送した。同容疑者は、弟との間に武装警官が座っている状態で「(警察には)実に驚かされた」と語り、「だから全部話した。隠すべきことはない」と話している。

 逮捕されたゴメス容疑者は、新たな暗い場所に連れていかれた。警備が最も厳重なことで悪名高いエルアルティプラーノ(El Altiplano)拘置所の小さな房室だ。同じ屋根の下には他の麻薬密売組織の大物たちもいる。(c)AFP/Carola SOLÉ