【3月1日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」の戦闘員で人質の殺害に関与した「ジハーディ(聖戦士)ジョン(Jihadi John)」とされるロンドン(London)に住んでいた男が4年前、英政府の治安当局に監視されていることが原因で自殺したい気持ちになると新聞記者に告白していたことが2月28日、明らかになった。

 ISが拘束していた欧米人の人質の少なくとも5人の斬首に関与したとみられるISの戦闘員とされるモハメド・エムワジ(Mohammed Emwazi)容疑者は英大衆日曜紙メール・オン・サンデー(Mail on Sunday)の記者に対し、自らを「死刑囚」のようだと語っていたという。

 エムワジ容疑者と接触していた英国の人権団体CAGEは、英情報局保安部(MI5)は少なくとも2009年から同容疑者を監視していたと指摘。MI5の「嫌がらせ」が同容疑者の過激化の原因になったと非難している。

 メール紙の記者だったジャーナリストのロバート・バーケイク(Robert Verkaik)氏宛てに2010年12月14日に送った電子メールの中で同容疑者は、使っていたノートパソコンを、インターネットを通じて知り合った人物に売ったこと、後になってその人物が治安当局者だったと考えるようになったことなどを打ち明けていた。

 メールには「自分が死刑囚のように思えることがある。あいつらに殺されるかもしれないのが怖いんじゃなくて、いつか永遠に眠れるようにと薬を飲めるだけ飲んでしまうんじゃないかということが怖いんだ!俺はただ、あいつらから逃れたい!」と書かれていた。

 デービッド・キャメロン(David Cameron)英首相とMI6(英秘密情報部)の元部長は同容疑者に対するこうした見方を強く否定。ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)ロンドン市長は、「テロ行為に対する言い訳だ」として、CAGEを批判している。(c)AFP