【2月4日 AFP】イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」により斬首された日本人2人の救出に失敗した日本政府に対し、国際的危機に対処する能力を疑う声が上がっている。

 専門家たちは、後藤健二(Kenji Goto)さんと湯川遥菜(Haruna Yukawa)さんの殺害は、平和主義を唱えて中東における紛争を長い間避けてきた日本にとっての「ウェークアップ・コール」であり、日本政府の事件への対応は時にぎこちなく、中東での外交資源における弱点を露呈したと指摘する。

 安全保障専門家で拓殖大学(Takushoku University)教授の川上高司(Takashi Kawakami)氏は「政府が情報不足だったことは事実で対応を困難にさせた」と指摘。「これはウェークアップ・コールといえる。この経験を踏まえて、政府は国内外における情報収集活動を拡充させるべきだ」と語った。

 イスラム国は先月31日に公開された映像で、広く尊敬を集めていた戦争特派員の後藤さんを殺害したと発表。その1週間前には、後藤さんの友人だった湯川さんを殺害したとみられている。

 この危機が発展するにつれ、中東地域における日本政府の交渉窓口とノウハウのなさが明らかになっていった。

 日本が頼っていたのはおおむね友好国ヨルダンだけだったとみられるが、そのヨルダン自体も、昨年12月にイスラム国の支配地域に墜落した空軍機のパイロットの救出を試みていた。

 同志社大学(Doshisha University)の内藤正典(Masanori Naito)教授(現代イスラム地域研究)は、日本はイスラム国からの人質解放の実績があるトルコの助けを求めた方が賢明だっただろうと語る。「この結果によって、安倍内閣はこのような事態に対して自衛隊を使うことについての検討を始めるようにも見える」