【2月17日 AFP】ロシアの情報セキュリティー会社「カスペルスキー研究所(Kaspersky Lab)」は16日、2013年に始まった一連のサイバー攻撃により、世界各国の銀行が合計で約10億ドル(約1185億円)の損失を受けたとする報告書を発表した。

 標的となった銀行は100行とされ、大部分はロシアの銀行だが、米国やドイツ、中国、ウクライナなどの銀行も含まれる。攻撃元の特定には至っていないという。同社は、中国の関与を示す証拠があるとしつつも、ハッカーらは捜査のかく乱を狙った手掛かりを残すこともあると注意を呼び掛けている。

 ハッカーらの一般的な手口は、職員にリンクや電子メールの添付ファイルをクリックさせる「フィッシング」と呼ばれるもの。一部の事例では、標的となった職員が防犯カメラの映像でハッカーらによって追跡されていた。

 銀行ネットワークへの侵入に成功したハッカーらは、自分たちの口座に資金を移動させたり、特定の自動機で現金を引き出したりできた。盗まれた資金は、米国や中国に送金されていたという。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が14日に報じたところによると、ハッカーらは自動機の場所と時間を指定して強制的に現金を支払わせ、それを回収することができるほどの高度なハッキング技術を持っていた。

 被害に遭った現金の額は膨大で、ある機関は自動機から730万ドル(約8億6000万円)、オンラインプラットフォームを通じて1000万ドル(約11億8000万円)以上を引き出されていた。

 カスペルスキー社は、ハッカーらが攻撃対象を欧州から中東、アジア、アフリカにまで拡大しようと試みていると指摘している。(c)AFP