【2月15日 AFP】14日午後と翌15日未明にデンマークの首都コペンハーゲン(Copenhagen)で起きた連続銃撃事件について専門家らは、先月仏パリ(Paris)で風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)本社などが標的となった連続襲撃事件と幾つかの類似点があると指摘しつつも、両事件を直接結び付けるには、射殺された容疑者に関するさらなる情報が必要だとの見解を示している。

 フランスのローラン・ファビウス(Laurent Fabius)外相は15日に出演したテレビ番組で、二つの事件の類似性は「際立って」おり、どちらも「最初に表現の自由を象徴するものが襲われ、それからユダヤ人が襲われ、最後は警官隊との銃撃戦で終わった」と述べた。

 1月7日にパリのシャルリー・エブド紙本社周辺で12人を殺害したクアシ(Kouachi)兄弟のように、コペンハーゲンの事件の容疑者は、言論の自由に関する討論会が行われていた文化センターを銃撃した。

 パリの事件ではクアシ兄弟同様にイスラム過激思想を持ったもう1人のアメディ・クリバリ(Amedy Coulibaly)容疑者が2日後にユダヤ系食品店に立てこもり、人質4人を殺害した。コペンハーゲンでは、文化センター襲撃の翌15日未明、シナゴーグ(ユダヤ教の礼拝堂)前で37歳のユダヤ人男性が撃たれて死亡した。

 さらにパリでもコペンハーゲンでも、事件は警官隊との銃撃戦によって幕が引かれた。パリでは前述のユダヤ系食品店と、クアシ兄弟が立てこもっていた印刷会社の2か所に警官隊が突入し、容疑者3人は全員死亡。コペンハーゲンでも大規模な追跡劇の末、警官隊との銃撃戦で容疑者は射殺された。

■ともに「価値の高い標的」狙う

 匿名で取材に応じた仏軍精鋭部隊に近い情報筋は「犯罪の手口も標的も似ている。また両方とも同じ類の個人によるジハードに思える」と述べた。

 デンマークの治安当局はすでに、コペンハーゲンの事件の容疑者はパリの事件に「感化された可能性がある」とする見解を明らかにしている。治安筋によれば、当局ではこうした「コピーキャット(模倣犯)」による事件を懸念している。「それこそがジハードを行う者たちの意図だ。プロパガンダ(宣伝)ビデオやインターネット上の勧誘活動を通じて、パリの襲撃事件のような行動に共鳴させたいのだ。そうした行動を再現させたいのだ」

 アルカイダ(Al-Qaeda)や「イスラム国(Islamic StateIS)」といった組織は支持者たちに、どんなに稚拙なものでも自分たちができる行動で、欧米諸国で市民を虐殺し打撃を与えるよう呼び掛けている。