【2月6日 AFP】ヨルダンは5日、イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に対する空爆を再開したことを明らかにした。同国政府はこれに先立ち、イスラム国がシリアで拘束していた同国軍パイロットを焼殺したことを受けて厳しい対抗措置を講じると宣言していた。

 首都アンマン(Amman)の政府関係者は、「ヨルダン空軍がイスラム国の拠点に対する攻撃を始めた」と述べた。また軍が出した声明によると、「ヨルダン空軍のイーグル戦闘機がきょう(5日)開始した」攻撃について、空軍参謀総長がアブドラ・ビン・フセイン国王(King Abdullah II)に報告したという。

 国王は同日、パイロット殺害に対する国全体の悲しみと強い怒りを表すため、アンマンの南120キロにあるカラク(Karak)まで足を運び、遺族らを弔問した。遺族らは政府に対し、イスラム国の「壊滅」を要請している。

 イスラム国は、内戦下のシリアと隣国イラクの広範囲を支配下に置いている。これまでヨルダンは、米国主導の有志連合による対イスラム国作戦に加わり、イスラム国に対し定期的に空爆を行ってきた。

 昨年12月、操縦していたF16戦闘機がシリアに墜落し、その後イスラム国に拘束されたモアズ・カサスベ(Maaz al-Kassasbeh)中尉が虐殺されたことを受けて、ヨルダン国内ではイスラム国に対する軍事行動強化を支持する声が強まっている。

 政府系のアラビア語新聞アッライ(Al-Rai)は社説で、「ヨルダンは国家の理念と価値観を守るため、全面戦争に乗り出すだろう」として、「われわれはこの犯罪者集団に目を光らせている」と書いた。

 カサスベ中尉の殺害でヨルダン国内には激しい怒りが巻き起こり、アンマンに加え、大きな影響力を持つカサスベ中尉の出身部族の地元カラクでも抗議行動が広がっている。6日のイスラム教の金曜礼拝後には、遺族への団結心を示すデモがヨルダン各地で行われることになっている。(c)AFP/Mussa Hattar