【1月20日 AFP】(一部更新、写真追加)イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が20日、日本政府に対し、邦人2人の殺害予告と2億ドル(約236億円)の身代金を要求する動画を公開したことを受け、安倍晋三(Shinzo Abe)首相は訪問中のエルサレム(Jerusalem)で記者会見し、ISに対し人質をただちに解放するよう要求した。

 安倍首相は「人命を盾に取って脅迫することは許し難いテロ行為であり、強い憤りを覚える。2人の日本人に危害を加えないよう、直ちに解放するよう強く要求する」と述べた。

 イスラム国が公開した動画では、黒づくめの服を着て刃物を持ったISの戦闘員1人が、オレンジ色の服を着た人質2人の間に立ち、カメラに向かって「お前たちの市民の命を救うために2億ドルを支払うという賢い判断を下すよう、政府に圧力をかけるための72時間の猶予を与える」と英語で話しかけている。

 また、身代金の要求は、安倍首相が現在行っている中東歴訪で表明した対イスラム国作戦への非軍事支援に対する埋め合わせだと主張している。

 人質のうち1人は、昨年8月に公開された動画の中でユカワ・ハルナ(Haruna Yukawa)と名乗り、誘拐犯らによって荒っぽい尋問を受けていた人物だった。もう1人はフリージャーナリストで、映像通信会社インデペンデント・プレス(Independent Press)代表の後藤健二(Kenji Goto)さんとみられている。

■米国も人質解放を要求

 安倍首相は20日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)ラマラ(Ramallah)でマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)自治政府議長と会談したのち、人質事件の対応のため予定を切り上げて帰国の途に就いた。アッバス議長は今回の殺害予告を「卑劣だ」と述べた。

 米国務省のジェン・サキ(Jen Psaki)報道官は20日、日本人2人の殺害を警告したイスラム国を非難して他の人質も含めた全員の即時解放を要求し、ジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官が同日中に日本の外相と話をすると述べた。(c)AFP