【12月19日 AFP】ブラジルの有名作家パウロ・コエーリョ(Paulo Coelho)氏は18日、公開中止が決まった北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記暗殺を扱った新作コメディー映画『The Interview(ザ・インタビュー)』の権利を10万ドル(約1190万円)で買い取ると申し出た。

 米国とカナダの大手映画館チェーンは、「Guardians of PeaceGOP、平和の守護者たち)」と名乗るハッカー集団が2001年9月11日の米同時多発テロをほのめかして同映画を見る人たちを脅迫する声明を出したことを受け、上映を中止すると発表していた。このため、米映画製作大手ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(Sony Pictures Entertainment)は今月25日に予定されていた同作品の公開を中止した。

 コエーリョ氏は自らのツイッター(Twitter)のアカウントで、この映画の権利をソニー・ピクチャーズから10万ドルで買い取り、自分のブログに載せて無料で公開する計画を明らかにした。

 その後、「@SonyPictures への申し出は19日午前0時まで有効。ソニーは製作予算の0.01%を回収することができて、私はテロの脅迫に対し『ノー』ということができる」と付け加えた。

 世界的ベストセラー『アルケミスト-夢を旅した少年(The Alchemist)』の作者であるコエーリョ氏は、同国の日刊紙グロボ(O Globo)に、映画の上映中止は「ひどい前例をつくることになる」と述べた。

 コエーリョ氏は「脅迫が功を奏すということだ。テロリストが勝つみたいなものだ」と語り、映画の上映中止を、英国人作家サルマン・ラシュディ(Salman Rushdie)氏の著作『悪魔の詩(The Satanic Verses)』が燃やされ、イスラム教国で禁書となったことになぞらえたが、「今回はもっと深刻だ」と述べた。(c)AFP