【11月15日 AFP】英国人作家サルマン・ラシュディ(Salman Rushdie)氏が、米SNSフェイスブック(Facebook)のプロフィールページをめぐって、フェイスブックと衝突した。

 ラシュディ氏がフェイスブックのプロフィールで、ファーストネームの「アフメド(Ahmed)」の代わりに、世界的に知られているミドルネームの「サルマン(Salman)」を使いたいと要請したことからトラブルが発生したという。

 メンバー数8億人以上を誇るフェイスブックは、実名登録を定めており、ペンネームなども禁止している。ラシュディ氏はこの騒動を、11万3000フォロワーを持つ自らのツイッター(Twitter)アカウント「@salmanrushdie」で詳しく物語った。

■成りすましと勘違いされたうえに・・・

『悪魔の詩(The Satanic Verses)』出版後に命の危険にさらされ、10年間の潜伏生活を続けたラシュディ氏は、フェイスブックに前週、「あなたが本人だと信じていないと言われて」、アカウントを停止されたという。

 そこでラシュディ氏は、パスポートのコピーをフェイスブックに提出した。

「私が本人であることは認められたが、今度は、パスポートでサルマンの前に書かれているアフメドという、私が一度も使ったことのない名前を使うように求めてきた」

「そして彼らは、私のフェイスブックページを再開する際に、『アフメド・ラシュディ』の名前で再開した。私は世界中でサルマンとして知られているのに。ばかどもめ」

 怒ったラシュディ氏は、フェイスブックの創設者、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏にツイッターで直接連絡をとろうとした。

「マーク、どこに隠れているんだ?ここに出てきて、私の名前を返しなさい!」

■直接交渉をあきらめ、ツイッターで主張

 だがラシュディ氏はフェイスブック側からの返答を得られなかった。そこで同氏は、ツイッターユーザーの民意に助けを求めた。

「#Facebook様、私のフェイスブックネームをサルマンからアフメド・ラシュディに変えさせることは、J・エドガー(J. Edgar)をジョン・フーバーに変えるようなもの」

「あるいは、F・スコット・フィッツジェラルド(F. Scott Fitzgerald)が#Facebookを使っていたら、フランシス・フィッツジェラルドと名乗るよう強制するのかい?」

 そして、ラシュディ氏の要望はついにかなった。

「勝利だ!#Facebookは屈服した。私はサルマン・ラシュディに戻った。すごくいい気分だ。この年齢でアイデンティティー・クライシス(自己同一性の危機)は楽しいものじゃないからね。ありがとうツイッター!」

 ラシュディ氏には、フェイスブック側からの謝罪が届いたという。(c)AFP