【12月10日 AFP】チャック・ヘーゲル(Chuck Hagel)米国防長官は9日、イラクを訪問し、ハイダル・アバディ(Haider al-Abadi)イラク首相と会談した。ヘーゲル長官はイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」との戦いにおける「着実な前進」をたたえた一方、イラク側はイスラム国打倒のためさらなる軍事支援の必要性を訴えた。

 先月辞任を表明し、自身の国防長官任期中としては初の──そして恐らく最後となる──バグダッド(Baghdad)訪問を果たしたヘーゲル氏にアバディ首相は、イラクの広い範囲を掌握したイスラム国に対する地上戦でイラク軍が攻勢を強めているとしながらも、「軍はさらなる空爆力と重火器を必要としている」と述べた。

 アバディ首相の要請は、イラクと米国との間に戦略面で見解の相違があることを浮き彫りにした。米側は、イラク軍が領土をしっかりと守って大規模な攻勢の準備を整えるまでは、限定的な空爆にとどめたいと考えている。

 イスラム国が広範囲を制圧し、「カリフ制」国家の樹立を宣言したことを受け、米国は欧州やアラブ諸国と有志連合を結成し、今年8月8日以降、イラクとシリアでイスラム国を標的にした空爆をすでに1000回以上実施している。

 国防長官辞任を表明したヘーゲル氏は、米国がイスラム国に対し大規模な戦闘を展開する中でバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領から事実上更迭されたという見方については否定している。

 国防長官として最後になるとみられる今回の外国歴訪でヘーゲル氏は、すでにアフガニスタンへも足を運んでいる。米国へは10日に戻ることになっている。(c)AFP/Dan De Luce