【12月4日 AFP】イラン軍がイラクでイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に対し空爆を実施したとの米国防総省の発表を受け、ジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官は3日、イラン軍による対イスラム国軍事行動はいかなるものも「有益」であり、歓迎すると表明した。

 ベルギーのブリュッセル(Brussels)で対イスラム国有志連合に参加する60か国による会議を主催しているケリー長官は、各国による約1000回の空爆が、イラクとシリアでのイスラム国の勢力拡大を阻止しつつあるものの、イスラム国の最終的な打倒にはまだ何年もかかる可能性があると警告した。

 米国防総省は2日、イランのF4ファントム(Phantom)戦闘機がイラク東部ディヤラ(Diyala)州のイスラム国戦闘員に対し空爆を実施したことを明らかにしていた。

 ケリー長官はこれについて、イランとの連携はなかったとした上で、イスラム教シーア派(Shiite)が多数派を占めるイランと米国との間では、共通の脅威と戦うという暗黙の了解があると示唆。「イランがある特定の場所で(イスラム国を)攻撃しているのなら、その効果は有益なものとなる」と述べた。

 一方のイランは、イラクでの対イスラム国空爆実施について、肯定も否定もしていない。

 米国防総省は3日、イランが空爆を実施した地域はイラク東部の米軍機が活動していない地域だったことを明らかにした。これは、長年敵対関係にあるイランと米国の間で、共通の敵に対する戦いにおいて、何らかの調整が行われていることを反映している。(c)AFP