【12月21日 AFP】中国政府の汚職追放政策によって、ぜいたく品の売り上げが鈍化する中、世界のプライベートジェット・メーカー各社は、超富裕層のためのおもちゃではなくビジネスツールとしてプライベートジェットを売り込もうとしている。

 2012年11月に発足した習近平(Xi Jinping)政権は、公務員による支出の引き締め強化策に加え汚職・腐敗撲滅作戦を立ち上げたが、これにより高級酒から高級腕時計まで、さまざまなぜいたく品市場が打撃を受けている。規模は小さいが急成長中のプライベートジェット市場も例外ではない。

 航空宇宙機器メーカー、ハネウェル・エアロスペース(Honeywell Aerospace)アジア太平洋地域担当取締役のブリアン・グリーア(Briand Greer)氏はAFPに「当社も中国政府のぜいたく追放の影響を受け、売り上げが若干、落ちている」と話した。

 プライベートジェット市場は急速な成長を遂げてきた。航空コンサルタント会社アジアン・スカイ・グループ(Asian Sky Group)によると、米航空機メーカー、ガルフストリーム・エアロスペース(Gulfstream Aerospace)製のプライベートジェットが初めて中国市場に参入したのが2003年。10年後の13年、中国国内のビジネスジェットは前年比28%増の248機となっている。

■超富裕層の4割「将来的に購入検討」

 南部の広東(Guangdong)省珠海(Zhuhai)で11月に開かれた中国最大規模の航空ショーでは、ガルフストリームやカナダのボンバルディア(Bombardier)、ブラジルのエンブラエル(Embraer)といった大手メーカー各社のプライベートジェットが出展された。外国勢のシェア争いに加わることを狙う民間航空機メーカー、中国商用飛機(Commercial Aircraft Corp of ChinaCOMAC)は、地域路線用ジェット旅客機「ARJ21」をビジネスジェットに改造した新モデルの模型を披露した。

 この航空ショーの会場で、ボンバルディアの中国ビジネス向けジェット・宇宙航空部門のクリスティン・ヤン(Christine Yan)・マーケティング部長は「ビジネスジェットをぜいたく品として扱うべきではない。仕事の効率を上げるためのツールだ」と強調した。プライベートジェット各社は、中国の堅調な経済成長と中国企業の海外進出などを理由に、市場の長期的見通しは明るいとの見方を維持している。