ただし、例えばエアバスの小型ジェット「ACJ319」が8000万ドル(約95億円)、ボンバルディアの12人乗りジェット「Global 5000」が5000万ドル(約59億円)など、プライベートジェットは非常に高額で、保有できるのは富裕層に限られる。

 高級誌発行と研究所運営を手がける「胡潤百富(Hurun Report)」の今年の調査によると、資産1600万ドル(約19億円)以上の「超富裕層」とされる中国人のうち40%が、将来的にプライベートジェットの購入を計画しているという。胡潤百富の創始者ルパート・フーゲワーフ(Rupert Hoogewerf)氏によれば、プライベートジェットを購入する中国人顧客の予算は2000万~8000万ドル(約24億~95億円)。その他、片道で乗り捨てられるレンタルジェットや、何人かで保有し交替でシェアするサービスなども登場し「市場は進化している」という。

■インフラ欠如や空域の限界も

 一方、中国のプライベートジェット市場にとって、政府の汚職追放作戦以外にも障害はある。一つには空港やその他、プライベートジェット専用のインフラも欠けている。国営メディアによれば、現在プライベートジェットの着陸が可能な場所は286か所しかない。

 さらに問題なのは、大半を軍が管理している空域の限界だ。これは通常の旅客機のフライトの遅延をたびたび引き起こしている。国営メディアにれよば、中国政府は来年、高度1000メートル以下の低空域を全土で「開放」する計画だというが、これは商用機のためというよりも、グライダーや軽飛行機、農薬散布用飛行機など広範囲の一般航空を対象にした動きのようだ。

 ビジネスジェットはもっと高い高度を飛んでいる。しかし業界ではこの決定を歓迎している。ガルフストリームのスティーブ・キャス(Steve Cass)コーポレート・コミュニケーション担当副社長は「正しい方向へ向けての第一歩だ。これだけの短期間にこれだけの成長があれば、インフラ不足の問題に突き当たるのは当然のことだ」と述べた。(c)AFP/Bill SAVADOVE