【12月3日 AFP】イタリア・ルネサンス期の芸術家で作家、さらには数学者、発明家でもあったレオナルド・ダビンチ(Leonardo da Vinci)の代表作「モナリザ(Mona Lisa)」のモデルは中国人の奴隷で、しかもダビンチ自身の母親だった可能性がある──イタリアの歴史家が発表したこの仮説が中国のインターネット上で波紋を広げている。

 この説を主張するのは香港(Hong Kong)を拠点に活動する、歴史家で作家のアンジェロ・パラーティコ(Angelo Paratico)氏。香港の英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)紙に対し「モナリザの背景には中国の風景が描かれており、彼女の顔さえもが中国人のようにみえる」と話した。

 パラーティコ氏はオーストリアの精神分析学者ジークムント・フロイト(Sigmund Freud)が1910年に発表した、「モナリザ」は母親の影響を受けて描かれたとする説を引用しながら、「Leonardo da Vinci: a Chinese scholar lost in Renaissance Italy(レオナルド・ダビンチ:ルネサンス期イタリアに消えた中国人学者)」と題した本を執筆した。

 ダビンチの母親カテリーナについては不明な点が多く、出自は長年、論争の的となっている。

 パラーティコ氏は同紙に対し「レオナルドの父親に仕事を依頼していた者の中に、カテリーナという名前の奴隷を持つ裕福な人物がいた。レオナルドが生まれた1452年以降、記録文書からはこの女性の名前が消えている」と述べた。

 中国とのつながりを示すには弱い証拠にみえるが、パラーティコ氏は、ダビンチの母親は東洋の出身だと「ある程度」確信していると述べ「彼女が中国人であるという考えに至るには、演繹的方法を採用する必要がある」と言い添えた。

 この説に対し、中国人のネットユーザーたちは驚きや疑念の声を上げ、さらには中国人のコメディアンや英俳優ローワン・アトキンソン(Rowan Atkinson)さんの顔に付け替えたモナリザなど数々のパロディー画像がネット上に投稿され、3日正午までにこの記事は400万件以上のアクセス、16万件の投稿を記録している。(c)AFP