■問題は「合意」の形成

 アメリカン大学2年生のフェイス・ファーバーさんは、性的暴行を防止するためのワークショップに携わる学生グループの一人だ。メール流出問題以来、こうした取り組みに対しては関心が集まっている。

 同グループは、10を超える公式な男子友好グループすべてのメンバーをワークショップに参加させるよう大学側に約束させた。他の学生たちの参加は任意だが、同大学では学生の18%が望まない性交渉を過去半年以内に経験していたことが昨年の調査でわかっている。

 ワークショップでの1時間のプレゼンテーションでは、「合意のもとの性交渉」に重点を置き、その「合意」の形成についての説明が行われる。ここでは、当事者同士が「しらふ」の状態において性行為に同意する必要があると説明しながら、「相手を求め、そして相手から求められる合意はセクシーなのです」と指摘している。

 一方、中身が不明なアルコール飲料を渡されたときや家までの送迎をオファーされたときの対応といった危険回避行動についてはあまり触れられていない。しかし、アメリカン大学職員のダニエル・ラパポート(Daniel Rappaport)氏は「危機回避は性暴行の防止において最も重要なファクターではない」と語る。

 大学でのこの取り組みは、カリフォルニア(California)州の新法「Yes Means Yes(イエスはイエスの意味)」にインスパイアされたものだという。同法では、被害者が大学に訴えた場合、明白な合意のない性交渉はすべてレイプとみなされる可能性がある。言い換えると、重要なポイントとなるのは性的暴行行為そのものについてではなく、事前の合意の有無ということになる。

 しかしラパポート氏は、問題はもっと根深いと話し、「男の子に対してより攻撃的・支配的になるよう、そして女性を征服すべき対象として見るよう教育する社会のあり方が一番の問題だ」と指摘する。

 また加害者らについては一目で分かるような怪物ではないと述べ、「彼らはみんなと同じように振る舞い、同じ授業を受けている。他の学生たちとなんら変わりはない。そして私たちが繰り返し目を背けてきたために、彼らは自らの行動が許容範囲内にあると考えるようになった」と続けた。(c)AFP/Raphaëlle PICARD