【11月30日 AFP】14-15フィギュアスケートグランプリ(GP)シリーズ第6戦、NHK杯(NHK Trophy 2014)は29日、大阪で男子シングル・フリースケーティング(FS)が行われ、ソチ冬季五輪と世界選手権を制した羽生結弦(Yuzuru Hanyu)はジャンプで転倒し4位に終わったものの、12月に行われるGPファイナル出場を決めた。

 中国杯(ISU Grand Prix of Figure Skating Cup of China 2014)での練習中に他選手と衝突し、当初は出場も危ぶまれていた羽生は、冒頭の4回転サルコーに失敗するなどミスが目立った。

「オペラ座の怪人(Phantom of the Opera)」に乗せたFSで、羽生は151.79点を獲得し、合計229.80点。ショートプログラム(SP)5位から1つ順位を上げたが、素晴らしい滑りで優勝を果たした村上大介(Daisuke Murakami)は246.07点を獲得し、大きな差がついた。

 羽生は中国杯の後にあごを縫い、頭に包帯を巻いた上、車いす姿で日本へ帰国しており、出場を認めた日本スケート連盟(Japan Skating Federation)には批判の声が上がっている。しかし今大会について、本人は「練習が少なかったことを言い訳にしたくない」と話した。

「これが今の実力だと感じている」と話した羽生が演技を終えると、客席からは花が降り注いだが、最後のポーズを取った後に羽生の口から出た言葉は「終わった」だった。

「ベストじゃない分を埋め合わせようと、気持ちが焦りすぎちゃったのかもしれない。だけどけがの影響ではなくて、これが実力」

 中国杯で閻涵(Yan Han、ハン・ヤン)と衝突し、会見で「ここにいることが奇跡に近い」と話す中でNHK杯に臨んだ羽生だが、ブライアン・オーサー(Brian Orser)コーチはAFPに対し、羽生は自身の反対を押し切って大会に出場したと話した。

 オーサー氏は「本人が決めたことです。私としては、大会へ向けて2つのプランを持っていました。1つ目は棄権すること。2つ目は、それでも出るのであれば、プログラムの難度を落とすことでした」と話した。

 GPファイナルへは、連覇を目指す羽生のほかに町田樹(Tatsuki Machida)と無良崇人(Takahito Mura)、ハビエル・フェルナンデス(Javier Fernandez、スペイン)、マキシム・コフトゥン(Maxim Kovtun)とセルゲイ・ボロノフ(Sergei Voronov)のロシア勢2人が出場する。(c)AFP/Alastair HIMMER