【11月26日 AFP】(一部更新)非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、シリア政府軍は25日、イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が首都と呼んでいる同国北部ラッカ(Raqa)に対する一連の空爆を行い、少なくとも95人が死亡した。うち半数以上が民間人だったという。

 昨年イスラム国がラッカを掌握して以来バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権の空軍が行った空爆の中でも、最多の死者数となった。

 シリア人権監視団によると、死者のうち少なくとも52人が民間人だったが、残りが過激派戦闘員であるか、同じく民間人であるかは不明。ラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)代表は「空爆の一部はイスラム国の拠点近くで実施された」と述べている。

 英国に拠点を置くシリア人権監視団は、シリア国内のネットワークから得られる情報をまとめている。同監視団は先に、空爆による死者を63人と発表していた。アブドル・ラーマン代表によれば、ラッカの主要産業地区に対し2度の連続した空爆があり、「最初の空爆の負傷者を助けようと住民らが集まった時に2度目の空爆が行われた」という。

 ラッカ入りしている人権活動家らは、シリア政府軍による空爆を「殺りく行為」と糾弾している。

 アサド政府軍は長い間、ラッカを標的とした攻撃はごくまれにしか行っていなかった。しかし今年の夏の後半からシリアの北部と東部にあるイスラム国の拠点に対する空爆を強化。シリア人権監視団の話では、今年9月6日のラッカへの空爆で53人が死亡し、うち少なくとも31人は民間人だったという。

 イラクとシリアでイスラム国に対する空爆を実施している米国主導の有志国はラッカにも空爆を行っている。しかし現地の活動家らによると、犠牲者の多くが一般市民という理由で、住民らは有志国連合よりもシリア政府軍の空爆の方をはるかに恐れているという。(c)AFP