■スキャンダル続出の中国スポーツ界

 今回のドーピング違反が報道されると、中国の水泳ファンは孫の素行について非難した。

 中国版マイクロブログの新浪微博(Sina Weibo)では、「彼は成長してない問題児」との投稿もみられた。

 中国の水泳選手は、1990年代に数々のドーピング検査で陽性反応を示したことで知られており、特に豪パース(Perth)で開催された1998年の世界選手権では、女子選手がヒト成長ホルモンをオーストラリアに密輸しようとして捕まり、のちにチームメート4人が禁止薬物のマスキング剤で陽性反応を示すなど、問題が相次いだ。

 2000年のシドニー五輪では、コーチを務めていた馬俊仁(Junren Ma)氏が率いる「馬軍団」と呼ばれたエリート陸上選手団が、血液検査をめぐる疑惑で中国選手団から外されるというスキャンダルもあった。

 馬氏は、選手が世界選手権や五輪で成功を収めたのは、日々の地道なトレーニングのたまものであり、カメの血液や冬虫夏草が含まれた漢方薬のおかげだと述べている。

 最近では、中国のドーピング違反はほとんど見つかっていないものの、アジア大会の陸上女子ハンマー投げで金メダルを獲得した張文秀(Wenxiu Zhang)が、ゼラノール(zeranol)の陽性反応を示して失格となっている。

 2012年ロンドン五輪では、当時16歳だった葉が、400メートル個人メドレーの最後の50メートルで男子のライアン・ロクテ(Ryan Lochte、米国)より速いタイムを出した際にも、ドーピング疑惑が浮上した。

 孫は当時、「みんな、中国が多くの金メダルを獲得しているのは、ドーピングやほかの薬物のせいだと思っている。でも、本当の理由はハードワークのおかげだと断言できるよ」とコメントし、葉を弁護していた。(c)AFP/Benjamin HAAS