メディア・スクラムは当分なくなることはないだろう。何故ならば、メディアが取り囲んでいる中心にいる人々が全力を挙げて、そうした状況を作り出してもいるからだ。記者たちが押し合いへし合い写真を撮り、言葉を聞こうとすることで、スクラムの中にいる人々は、自分たちがそれほど重要な人物なのだと感じることができるからだ。

 このような災難は枚挙にいとまがない。どの記者もそのキャリアで少なくとも1回はメディア・スクラムを経験しているだろう。

 私の場合、記憶に残っているのは、エジプトのホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)大統領(当時)がスペインのマジョルカ(Mallorca)島の高級ホテルに続く御影石の階段で、記者の一団に押しつぶされそうになったときだ。何の取材だったかは忘れたが、大統領がバランスを崩して倒れそうになったところを、ボディーガードに支えられて助かったのを覚えている。しかし、スペインのテレビクルーは彼ほどラッキーではなかった。彼らのカメラは階段の一番下で粉々になっていた。(c)AFP/Roland de Courson


この記事は、AFP通信のエディターのRoland de Coursonが書いたコラムを翻訳したものです。