■上昇を続ける錦織

 過去三度の対戦で全敗していたものの、キャリア最高のシーズンを過ごした錦織にとってマレーを恐れる理由はなかった。

 9月の全米オープン(US Open Tennis Championships 2014)で四大大会(グランドスラム)では自身初となる決勝に進出した錦織は、今季自己最多の52勝を挙げており、1973年以降では初めてアジア人選手としてトップ10以内でシーズンを終えることになる。

 全米オープンではクロアチアのマリン・チリッチ(Marin Cilic)に敗れたものの、その後も輝き続けた錦織は、マレーシア・オープン(Malaysian Open, Kuala Lumpur 2014)と楽天ジャパンオープン(Rakuten Japan Open Tennis Championships 2014)で優勝を飾り、世界ランクを5位に上げている。

 成功を重ねる中で、錦織はトップ選手に引け目を感じる理由はないと自分自身を説き伏せた。

「そう、実際そういったことに悪戦苦闘してました。ジュニアの頃は、考えすぎることはなかったから、誰とでもしっかりとしたテニスができてました。ただプロ転向後に、トップ選手をはじめとしていろいろな選手に敬意を払うようになってしまって」

「ロジャー(フェデラー)と初めて対戦したときは、敬い過ぎて何もできなかったです。勝利を狙うのではなく、自分のアイドルとただプレーをしてました。それが抱えていた問題だったんです」

「数年経って、精神的に強くなりましたね。トップ選手を倒すには、自分自身を信じなくちゃならない。李娜(Na Li、リー・ナ、中国)のような選手を尊敬しています。彼女のような選手たちからモチベーションを感じるので」

(c)AFP/Steven GRIFFITHS