【11月4日 AFP】(写真追加)全米一高いビル「ワン・ワールド・トレード・センター(One World Trade Center1WTC)」が3日開業し、初の商業テナントとして大手出版グループのコンデナスト(Conde Nast)が入居した。2001年9月11日の同時多発テロで崩壊した世界貿易センター(World trade Center)のツインタワー跡地に建設された新タワーが、象徴的な門出を迎えた。

 ニューヨーク(New York)のビージー通り(Vesey Street)にある1WTCは、「9・11記念博物館(National September 11 Memorial Museum)」のすぐそばにある。この日は「ニューヨーカー(New Yorker)」や「ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)」といった雑誌を発行するコンデナストの幹部約175人が新タワーに足を踏み入れた。

 1WTCは、5つのタワーからなる複合施設の中心的な建物で、104階建て、高さ540メートル。これは1776フィートに相当し、米国が1776年に英国からの独立を宣言したことにちなんでいる。一般の人が訪れることができる100~102階の展望デッキは来年の春にオープンする予定だ。

 コンデナストの企画管理部門の重役で、1980年代に世界貿易センターで勤務した経験もあるというジョン・ダフィー(John Duffy)氏は、社員の中には再び攻撃の標的になるのではという恐怖心を拭えない人もいると認めながらも、当局が「破壊がほぼ不可能」なビルの建設に尽力してくれたと述べた。来年1月にはタワーの20~44階を占めるオフィスでコンデナストの社員3400人が勤務することになっている。

 建築家デービッド・チャイルズ(David Childs)氏がデザインした1WTCは、シンプルなライン、針のような尖塔が特徴で、鏡のような窓が日光を浴びてまぶしく輝くニューヨークの新しいランドマークとなっている。

 この他のテナントとしては、チャイナセンター・ニューヨーク(China Center New York)やスポーツスタジアムの運営などを手掛けるレジェンズ・ホスピタリティ・グループ(Legends Hospitality Group)、連邦官公庁の物資調達を担当する一般調達局(General Services Administration)が入ることになっている。

 1WTCはニューヨーク・ニュージャージー港湾公社(Port Authority of New York and New Jersey)が所有し、運営管理はダースト・オーガニゼーション(Durst Organization)が行う。ダースト・オーガニゼーションの広報担当者がAFPに明かしたところによると、オフィススペースの約6割のテナントがすでに決まっているという。(c)AFP/Mariano Andrade