■はるかに患者が多いインフルエンザ

 毎年、米国民の5~20%がインフルエンザにかかり、約20万人が入院している。CDCは、1976-1977年の流行期から2006-2007年の流行期までの30年間に米国で季節性インフルエンザに関連して死亡した人の数は累計で約3000~約4万9000人という推計を示している。

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)は、世界全体で毎年300万~500万人がインフルエンザにかかり、最大で年間50万人が死亡しているとしている。

 エボラ出血熱が史上最大の規模で流行している西アフリカでは、今年に入って1万3000人以上がエボラ熱にかかり、うち4900人以上が死亡した。

 エボラ出血熱はインフルエンザと比べると患者数は少ないが、致死率は高い。ただ、米国内の病院でこれまでに治療を受けたエボラ患者9人のうち、死亡は1人にとどまっている。一方、インフルエンザの感染例は至るところで見られるが、子供や高齢者、免疫力が低下した人を除けば死に至るケースはまれだ。

 渡航歴や感染者に接触した可能性に基づき、患者がエボラ感染検査を受けるべきかどうかは医師のみが判断できる。そうした中でニューヨークのレノックス・ヒル病院(Lenox Hill Hospital)で救急医療を担当しているロバート・グラッター(Robert Glatter)医師は、「肝心なのはパニックにならないこと。何よりも心配するべきなのは、エボラではなくインフルエンザだ」と明言するとともに、「一般の人にとって最も大切なのはインフルエンザの予防接種を受けることだ」と強調した。(c)AFP/Kerry SHERIDAN