■症状に共通点

インフルエンザとエボラ出血熱は、発熱や頭痛、疲労感、身体の痛みといった症状が共通する一方、大きな違いもある。インフルエンザはせきや喉の痛み、鼻水を伴うが、エボラ熱にこれらの症状はない。エボラは感染から3~6日後に嘔吐(おうと)や下痢、全身の衰弱や腹痛といった症状を呈し、原因不明の出血もみられる。

こうした違いを説明するため、CDCは2つの感染症の違いを示す「インフルエンザ、それともエボラ?」と題した配布物を作成しインターネット上で公開した(www.cdc.gov/vhf/ebola/pdf/is-it-flu-or-ebola.pdf)。

 シンプルな太文字のフォントを使い、くしゃみをしている人とその向かい側に立っている人のイラスト付きで、インフルエンザがせきやくしゃみをしたり、話をしたりする際に出る飛沫(ひまつ)で感染することを図解している。 エボラについては、血液を示す赤いしずくと注射針のイラストを配して「(感染者の)血液や体液に直接触れない限り感染しません」と述べている。

 米国各地ではスクリーニング検査の強化策の一環として、病院の患者に対し、アフリカに最近渡航した経験やエボラ感染が疑われる症状の有無を調べる問診票の記入を求めている。ニューヨーク(New York)のノーザンウエストチェスター病院(Northern Westchester Hospital)の感染症の専門家デブラ・スパイスハンドラー(Debra Spicehandler)氏はAFPに対し、「スクリーニング検査は外来患者治療室や救急処置室、外来外科センターの全てで行われている」と語る一方、「エボラ治療の準備に長時間総力を挙げて取り組んでいるため、インフルエンザやその流行期に向けた準備への集中力を欠いてしまった可能性がある点が唯一の問題だ」と懸念を示した。

 CDCは生後6か月以上の全ての人について毎年1回のインフルエンザ予防接種を推奨しており、10月末までに受けるのが望ましいとしている。昨年の接種率は成人が42%、未成年が59%だった。CDCは、今年の接種率を発表するにはまだ早いとしている。