【10月29日 AFP】米検索大手グーグル(Google)は、人体内部を「検索」して、がんや心臓病など命にかかわる病気の初期の兆候を見つける方法の研究を進めている。

 同社の特別研究機関「Google X」のライフサイエンス(生命科学)チームは、「ナノ微粒子」を使って血流内での異常を監視し、装着可能なセンサーに発見した兆候を表示させる実験を行っている。

 グーグルは、28日に公開した同プロジェクトの解説の中で「これはまだ初期段階の研究だが、見込みのある実験結果がこれまでに数多く得られている。さらに研究を進める方針だ」と述べた。

 想定されている応用例はとしては、破裂すると心臓発作や脳卒中を引き起こす危険性がある動脈瘤からの酵素を見つける検査や、外科手術や化学療法を行った後のがん細胞の監視などがある。命にかかわる病気も、早期発見で治療の成功率が劇的に高くなるとされている。

 錠剤に内包された特殊な操作を施した極小のナノ粒子群は、体内に入ると血流中に吸収されて、がん細胞などの標的細胞に付着する。そして内部に組み込まれた磁気特性により、体に装着した機器に引き寄せられ、光や電波などの非侵襲的な検出手法を用いてカウントされるという。

 グーグルはこの技術について、成功すれば「人の体内で発症し始めている段階の病気を医師が発見する一助となる」可能性があると述べた。また医学的に承認された診断法への同技術の応用に前向きな企業には、ライセンスの供与を行う予定としている。

 グーグルのライフサイエンスチームがこれまでに開発した新技術には、涙に含まれるブドウ糖の濃度を測定し、糖尿病患者の血糖値管理に役立つコンタクトレンズや、パーキンソン病などの病気による手の震えを相殺する食器などがある。

 同社は2013年、先進技術を利用して健康や老化の問題に対処することを目的とするベンチャー企業Calicoを設立している。(c)AFP