【10月16日 AFP】米国初のエボラ出血熱患者の対応に当たった医療関係者の2次感染が相次いだことによって、感染拡大を阻止するための米当局の対応に数々の不手際があったことが明らかになっている。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領と米保健当局は先月、西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱の米国への感染拡大の「可能性は低い」としつつ、その準備はできており、もし発生すれば直ちに封じ込めるとしていた。

 しかし、リベリアから米国に渡ったばかりのリベリア人男性、トーマス・エリック・ダンカン(Thomas Eric Duncan)さんが、9月25日に発熱や体の痛みを訴え米テキサス(Texas)州ダラス(Dallas)のテキサス・ヘルス・プレズビテリアン病院(Texas Health Presbyterian Hospital)で受診した際には、その4時間後に帰宅を許されていた。

 この決定が、救急医療室にいた他の患者やダンカンさんの家族、医療スタッフらの感染リスクを高めることになった。ダンカンさんは同月28日、嘔吐と下痢のため救急車で同病院に搬送され再度受診。この時には他人に感染させる可能性が極めて高い状態だったため、もし適切な予防措置をとっていなければ、数十人の医療関係者が感染した可能性がある。

 ダンカンさんは、同月30日になって初めてエボラ出血熱と診断され、今月8日に死亡した。米疾病対策センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)によると、ダンカンさんとの接触が確実、またはその可能性がある人は118人おり、その大半が医療関係者だという。

 同病院を運営するテキサス保健当局のトップ、ダニエル・バルガ(Daniel Varga)医師は、国内でのエボラ熱感染に対する対応について調査している米下院エネルギー商業委員会(House Energy and Commerce Committee)に提出した文書の中で、「ダンカンさんの初期治療においては残念ながら、高度な技術を持つ医療チームが誠意を持って対応したにもかかわらず、間違いを犯してしまった」「われわれは、彼の症状をエボラ出血熱と正しく診断しなかった。非常に申し訳なく思っている」と述べている。