【10月14日 AFP】ローマ法王庁(バチカン)で開催中のローマ・カトリック教会が家族のあり方に関する教義を見直す「世界代表司教会議」で13日、同居カップルや、離婚歴のある人の結婚、同性愛カップルといった関係について、同教会はより肯定的な観点を採用するべき、との提案がなされた。

 世界各国の司教による協議の取りまとめ役としてフランシスコ(Francis)法王により指名された高位聖職者たちは、1週間前に始まった会議の内容を踏まえた中間報告書を発表。その中で、公式にはカトリックで「常軌から外れたもの」とみなされる関係に関して、多くの人々が「肯定的な側面」を認識していると指摘。こうした関係には、同性愛カップルや未婚のカップル、離婚歴がある人の結婚が含まれている。

 報告書は、ローマ・カトリック教会はこういった人々に歩み寄るべきだと提案。ある著名なバチカン専門家のJohn Thavis氏はこの報告書を同教会に「激震」をもたらすものと評している。

 報告書は「同性愛者たちにはキリスト教コミュニティーへの貢献となる資質がある。こうした人々を歓迎し、われわれのコミュニティーに友愛の空間を保証することは、われわれには可能だろうか」との問いを投げ掛け、さらに「同性愛関係に関わる道徳的な問題は否定しないながらも、パートナー関係にある2人が犠牲もいとわず互いに助け合い、人生における貴重な支えとなっている例もあるということは指摘しておかなければならない」と付け加えた。

 その一方で報告書は、同性愛、婚外性交渉、離婚を根本的に間違った行為とみなしてきた確固たる伝統教義を変える意向は、カトリック教会の聖職者たちにはないこととも示唆している。だが報告書は、カトリック教会がこうした問題に関する教義と現代社会の現実との乖離(かいり)を埋める手立てを見出す必要があるとも指摘している。

 司教会議は今月19日に閉幕し、来年再び大規模な会議が開かれる予定。最終的な結論は2016年前半にも下される見込み。(c)AFP/Angus MACKINNON