【10月8日 AFP】4月に沈没した韓国の旅客船セウォル(Sewol)号の船長で、殺人罪に問われたイ・ジュンソク(Lee Joon-Seok)被告の公判が8日、同国光州(Gwangju)の裁判所で開かれ、イ被告は、自らの処遇について「死刑で当然」と語った上で、自分が助かるために乗客らを犠牲にしたとの非難を否定した。

 イ被告は、セウォル号が沈没した際、船内に依然として数百人が閉じ込められている状況で船を離脱したとして世論の非難を浴びた。

 セウォル号の沈没事故では300人以上が死亡し、犠牲者の大半は高校生だった。悲劇的な事故は韓国に大きな衝撃をもたらした。

■「避難指示出した」船長が主張

 事故では、救命ボートに最初に乗ったのが船長と船員らだった。

 犠牲者の携帯電話から取り出された動画には、船が大きく傾く中、船内のスピーカーから移動しないよう告げるメッセージが流され、高校生たちが不安な顔で寝台に残っている様子が映し出されていた。

 だがイ被告は、自分の命を救うために乗客を犠牲にしたとの検察側の主張を否定し、乗客への避難指示を出すよう船員に命じたと主張。イ被告によれば、1隻目の救助船が到着する5分前ごろ、救命胴衣を着用して海に飛び込むよう乗客へアナウンスするよう船員に命じたという。

 だがこのアナウンスが実際に行われることはなく、またイ被告がこの指示を出したという証拠も残っていない。

 またイ被告は、事故の真犯人はセウォル号を常時定員過多で運航させ、また船の違法な改造をさせた同船のオーナーらだと主張した。(c)AFP