【9月26日 AFP】今年引退を表明した「角界のベッカム」こと元大相撲力士の琴欧洲(Kotooshu)は、伝統を重んじる相撲界により科学的な練習手法が浸透すれば、相撲は大きく発展する可能性があると話した。

 身長202センチ、ブルガリア時代はジュニアのレスリング王者になった経歴を持つ琴欧洲は、2002年に18歳で来日すると、欧州出身力士としては初めて大関にまで上り詰めた。

 24日付の毎日新聞(Mainichi Shimbun)に掲載されたインタビューで、琴欧洲は「ブルガリアでは効率良く、トレーナーやコーチ、医師と協力します。効率の良い練習で強くなれるように、さまざまなデータ分析もします」と話した。

「こっちに来たらもう、『何世紀にいるのか』って感じでした。もっと理論的にやったら、もっと強くなります。外国力士にも負けない。間違いないです」

 長い歴史を持つ角界では、基本動作の反復による精神面の鍛錬が重要視される。しかし近年、番付上位はほとんどが外国人力士、特にモンゴル出身の力士で占められており、伝統を重んじる面々は気をもんでいる。

 琴欧洲は、将来は親方になるのが夢だと語り、角界で学んだものを弟子たちに伝えたいと思うのは自然なことだと続けた。

「相撲は私の人生」と語る31歳の琴欧洲は、大銀杏を切り落とす断髪式を10月4日に行う。角界では、この断髪式を終えると正式に引退したものとみなされる。

 実際に似ているわけではないが、その容姿端麗ぶりから、琴欧洲は英国サッカーのスターであるデビッド・ベッカム(David Beckham)氏と比べられることも多く、今でも女性ファンが多い。

 母国ブルガリアでは、日本での活躍を称え、2009年にスタラ・プラニナ章(Order of Stara Planina)を授与されている琴欧洲。夫人は日本人女性で、2014年1月には日本国籍も取得している。(c)AFP