【9月5日 AFP】世界で最も人気のある飲み物の一つ、コーヒーの原料となるコーヒーノキのゲノム(全遺伝情報)解読結果が4日、国際研究チームにより発表された。コーヒーの味を向上させる助けになる可能性があるという。

 このゲノムを活用して、品質を向上させ、干ばつや病気に対する耐性を高めたコーヒーノキのより頑強な品種を開発できるようにすることで、さらに厳格な作物管理を実現できるかもしれない。

 世界では毎日およそ22億5000万杯のコーヒーが飲まれている。国際コーヒー機関(International Coffee OrganizationICO)によると、コーヒー産業には世界52か国で2600万人が従事しており、2013年のコーヒー輸出総額は154億ドル(約1兆6300億円)に達したという。

 コーヒー輸出国の上位には、ブラジル、コロンビア、ベトナム、エチオピア、インドネシアの他、多くの中米諸国が名を連ねている。だが中米は現在、1976年以降で最悪規模の赤さび病流行が発生しており、コーヒーノキの約半数が被害を受けている。

 研究チームは今回、コーヒー世界生産量の約3割を構成する品種ロブスタコーヒーノキ(学名:Coffea canephora)のゲノムを解読した。もう一つの主要品種であるアラビカコーヒーノキ(学名:Coffea arabica)は、ロブスタ種より酸味が弱く、カフェイン含有量も少ない。

 研究チームは、コーヒーノキがカフェインの生合成に関与する酵素「N-メチルトランスフェラーゼ」を多く含むことを発見した。

 コーヒーのカフェイン合成酵素は、茶やチョコレートのカフェイン合成酵素と比べ、他のコーヒーノキの遺伝子とより近い関係にある。これは、コーヒー内でのカフェイン合成が独自に発達したことを意味している可能性が高いと研究チームは指摘している。

 イスラエルの国立エルサレム・ヘブライ大学(Hebrew University of Jerusalem)植物科学遺伝子学研究所(Institute of Plant Sciences and Genetics)のダニ・ザミル(Dani Zamir)氏は論文に添えられた論説で、解読されたデータは、気候変動や疫病といった天敵へのコーヒーノキの耐性を強めるために共有され、利用されるべきだと述べている。

 今回の国際研究プロジェクトには、フランス、米国、イタリア、カナダ、ドイツ、中国、スペイン、インドネシア、ブラジル、オーストラリア、インドの11か国の研究者らが参加した。(c)AFP