【4月18日 AFP】「生きた化石」と称される深海魚シーラカンスのゲノム(全遺伝情報)を解読し、シーラカンスが数億年もの間ほとんど進化していないことを国際研究チームが突き止め、研究の成果を17日付の英科学誌ネイチャー(Nature)で発表した。発見は太古の時代に魚類が初めて陸に上がった過程の解明につながると期待される。

 チームがシーラカンスについて、ほぼ人間と同じ30億のDNAコードを調べたところ、数十億年を経ても遺伝子レベルでの変化が驚くほど少ないことが分かった。同様の研究対象としては、最も芳しい成果が得られた種だという。

 研究に参加した米ブロード研究所(Broad Institute)のジェシカ・アルフォルディ(Jessica Alfoeldi)氏は「われわれが調査した他の魚類や陸上の脊椎動物と比較して、シーラカンスは全ての遺伝子において進化のスピードが極めて遅いことが分かった」と説明した。

 同じくブロード研究所のカースティン・リンドブラッドトー(Kerstin Lindblad-Toh)研究員は「種が長い時間を経て、どのように変化してきたのかが議論の争点になってきた。だが、地球上には生物が変化する必要がない場所が少ないながらもあり、シーラカンスはそういった環境で生存してきた」と指摘した。

 シーラカンスは、うろこは灰茶色で成魚は体長が2メートル、体重91キロにもなり、現存する魚類のなかでは最も古い種と考えられている。(c)AFP