夫殺しで起訴の少女は被害者か? ナイジェリアを分断する児童婚
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■「強制結婚ではない」
ナイジェリアには結婚年齢の下限に関する規定はないものの、21歳未満の結婚については保護者の同意が必要。未成年者の結婚は、住民の大半がイスラム教徒である北部で多い一方、キリスト教徒が圧倒的に多い南部では極めてまれだ。
14歳の少女と35歳の男性の結婚は部外者の目には忌まわしいものと映るかもしれないが、タシウ被告の父親であるタスイ・モハメド(Tasui Mohammed)さん(50)はAFPに対し、結婚までの経緯におかしな点は何もなかったと振り返った。「娘には決して結婚を強制しなかった。3人の求婚者の中からウマルさんを選んだのは娘だった」
モハメドさんによると、タシウ被告は13歳になってからウマル・サニさんと「交際」するようになったものの、家族はサニさんに対し、一家のしきたりに沿って被告が14歳になるまでは結婚を認めない意向を示したという。モハメドさんの娘らのうち、14歳で結婚したのはタシウ被告が7人目だった。
北部で人口の大半を占めるハウサ(Hausa)人のしきたりでは、娘が結婚相手に誰を選んだかを父親に伝える際に伝達役を介することになっており、この役割は親友が務める場合が多い。モハメドさんによると、タシウ被告がサニさんを選んだことは、自宅にやってきたファウジヤ(Fauziyya)という名の友人から正式に伝えられた。その後、決定が最終かどうかを被告に直接確認したところ、「娘は私に、これが自分の選択だと言った」(モハメドさん)という。
犯行動機で思い当たることはないかとの質問に対し、モハメドさんは「なぜあのようなことをしたのか分からない」と語った。