【8月13日 AFP】映画界の巨匠ロマン・ポランスキー(Roman Polanski)監督(80)は12日、予定していたスイス・ロカルノ映画祭(Locarno Film Festival)への出席を取りやめると発表した。同監督は2009年、1970年代の児童性的虐待事件をめぐる米国での逮捕状に基づきスイスで身柄を拘束された過去があり、映画祭で公の場に姿を見せることに対して集まった強い批判を収拾するために欠席を決めたものとみられる。

 フランスとポーランドの国籍を持つポランスキー監督は当初、今月6日に開幕し16日まで予定されているこのアート系映画の祭典に、最新作『毛皮のヴィーナス(Venus in Fur)』のプロモーションと講演のために出席すると発表していた。

 ポランスキー監督にとって、ロカルノ映画祭への出席は今回が初めてとなるはずだった。同氏は過去に、有名なフランスのカンヌ映画祭(Cannes Film festival)よりも、ロカルノ映画祭の方が商業性が薄くアート色が強いと評価していた。

 しかしこの発表を受けて、スイスのソーシャルネットワーク上では非難の嵐が巻き起こり、識者らからも同監督に敬意を払うなど不適切極まりないとの声が上がっていた。

 ポランスキー監督は同映画祭の公式ウェブサイトに掲載した書簡の中で、「私がロカルノ映画祭へ出席するという発表が招いた緊張と論争の大きさを考慮し、残念ながら出席を断念いたします」と伝え、「皆様のご期待に沿えず、非常に悲しく思っています」とつづった。

 ポランスキー監督は、当時13歳だったサマンサ・ゲイマー(Samantha Geimer)さんに薬物を勧めた上で性的暴行に及んだとされる1977年の事件に関連して米当局が身柄の引き渡しを求めているが、裁判にかけられる前に米国外へと渡航。その後2009年にスイスで身柄を拘束され、1年間の自宅軟禁処分とされたが、スイス当局は米側が求めた身柄の引き渡しを拒否して釈放した。ゲイマーさんは後に、ポランスキー氏をすでに許したと語っている。(c)AFP