【8月10日 AFP】致死率の高いエボラ出血熱が猛威を振るい、数か月前から人々が危機的な状態に置かれてきたリベリア北部で今、感染拡大の阻止を目的に隔離された地区の住民たちが、飢餓という新たな脅威に直面している。

 西アフリカ全体で1000人近くの命を奪ったエボラ出血熱を封じ込めるための取り組みとして、リベリア政府は先ごろ、最も多くの患者が確認された北部地域を隔離。軍の車両が道路を封鎖し、人の移動を制限している。

 しかし、隔離措置によって業者が食料品を仕入れることがきなくなり、農家も作物の収穫ができなくなっていることから、地域では商品が不足。価格が急騰している。

 首都モンロビア(Monrovia)の北にあるボポル(Bopolu)に住む男性は、「住民は餓死するのではないかと恐れ、パニックに陥っている」と話した。また、「うちは25人家族だが、コメの値段が高騰しており、手持ちの金額で買えた分だけでは3週間も持たない」という。

 また、AFPの電話取材に応じた同じ地区の住民の女性は、「感染拡大を封じ込めるための隔離には賛成だが、私たちが餓死する必要はない。診療所も閉鎖されている上、食べ物もなくなったら、どうやって生き残れというのか。エボラウイルスの犠牲者以上の人が死ぬことになる」と語った。

 隔離措置は、リベリアが緊急事態を宣言した6日から実施されている。人の移動を制限するために派遣された軍は特に、最悪の被害が出ている州から首都への移動を規制している。

 エレン・サーリーフ(Ellen Sirleaf)大統領は、「国の存続をかけて、非常手段を講じる必要がある」と警告している。(c)AFP