【7月19日 AFP】イタリア・ミラノ(Milan)の高裁は18日、首相在任中に未成年女性=当時(17)=を相手に買春し、職権を乱用してこの女性を釈放するよう働き掛けたとして起訴されたシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)元首相(77)に、禁錮7年と終身の公職禁止の一審判決を破棄して無罪を言い渡した。元首相は政界での影響力を再び強める可能性もある。

「被告人を無罪とする」とエンリコ・トランファ(Enrico Tranfa)裁判長が告げると法廷に息をのむ声が上がり、裁判長は静かにするよう命じた。別の脱税事件で有罪になり社会奉仕活動が命じられているベルルスコーニ元首相自身は、アルツハイマー病患者の施設で週に1度の社会奉仕活動を行うためこの日は出廷しなかった。

 裁判長は、職権乱用については「犯罪は存在せず」、買春についてはベルルスコーニ氏の行動は「犯罪を構成しない」と述べ、詳しい判決理由は法定期限の3か月以内に明らかにすると述べた。検察側は最高裁に上告する可能性がある。

 被告側の弁護士フランコ・コッピ(Franco Coppi)氏は、問題の女性が当時まだ17歳だったことをベルルスコーニ氏が知らなかったとの被告側の主張を裁判官が認めたのだろう、と語った。

 ベルルスコーニ元首相が党首を務める保守政党「フォルツァ・イタリア(Forza Italia、「がんばれイタリア」の意)」はツイッター(Twitter)で、元首相は「感激している」と述べたと明らかにした。

 一審でベルルスコーニ元首相は、モロッコ人ダンサーで「ハート泥棒のルビー(Ruby the Heart Stealer)」の名で知られるカリマ・エル・マフルーグ(Karima El Mahroug)さんを買春した罪と、首相在任中にエル・マフルーグさんが窃盗容疑で拘束された際、釈放するよう警察に圧力をかけた罪で有罪判決を受けていた。

 ベルルスコーニ氏は、彼女がホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)エジプト大統領(当時)のめいだと思って電話しただけだと主張していた。(c)AFP/Giuseppe Aresu with Dario Thuburn in Rome