【7月4日 AFP】「一番大切なのは神、家族、その次がネイマール」――ブラジルの首都ブラジリア(Brasilia)に住む女子高生レイエレン・アンドラーデさん(17)は、ブラジルのサッカー代表チームの黄色いユニホーム姿で、そう言い切った。背中に入った選手名は、もちろん「ネイマール」だ。

 彼女はブラジル代表とスペイン1部リーグ、FCバルセロナ(FC Barcelona)のFWネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)選手を崇拝してやまない熱狂的なファン「ネイマールゼテス(Neymarzetes)」の1人。同選手の人気ぶりは、まるでサッカー界のジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)といったところだ。

 サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)の最中にブロンドに髪形を変えたネイマール選手の顔は、ブラジル中にあふれている。看板広告やテレビCMからファンの心の中にまで、ネイマール選手はありとあらゆる場所に存在しているのだ。

 ネイマール選手の女性ファンたちは、彼の姿を見れば叫び声を上げ、彼のグッズを集めまくる。インターネットではネイマール選手の最新情報を詳細に調べあげ、チャットルームで他のファンたちと情報交換する。

■アンドラーデさんの場合

 赤毛のロングヘアに指にはグリーンのマニキュアをしたアンドラーデさんは、中流家庭の出身。自室はネイマール選手のポスターだらけだ。彼に関する記事をスクラップしたファイルも何冊もたまった。

 アンドラーデさんはブラジリアで行われた対カメルーン戦のチケットを入手できなかった代わりに、試合前の練習を見にいった。ネイマール選手が気づいてくれるかもと期待して。「彼は私の存在を知っているの。私の一番の夢は、彼にキスして愛してるって言うこと。彼が苦しんでいるときも、私はいつもそばにいるって伝えたい」

 アンドラーデさんにネイマール選手への情熱が芽生えたのは5年前。その頃の彼女は、てんかんで苦しんでいた。「特に興味がある選手がいたわけじゃなかった。でも12歳のときに大病にかかったの」

 アンドラーデさんは歩くことも学校へ行くこともできず、一生体が不自由になる危険もあった。家にこもって何時間もインターネットばかりしていた彼女は、当時ブラジルのサントスFC(Santos FC)でプレーしていたネイマール選手に心の慰めを見出すようになった。

「誰にも会わなかったし、友達もいなくて。彼に夢中になった」と、アンドラーデさんは振り返る。「彼や家族に関する本を読み始め、彼に関するものも全て買い集めた。彼の人生の喜びが、私から孤独の悲しみを取り去ってくれたの」

 病気を克服した後も、ネイマール選手に対するアンドラーデさんの情熱は薄れなかった。

■ネイマール選手と双方向の交流も

 ネイマール選手自身も「ネイマールゼテス」の存在を知っていて、定期的にメッセージを送っている。

「ロンドン五輪のときに、私のメッセージに返信してくれたことがあった。『がんばってね。ゴールの準備は?』と書いたら、彼は『1つだけじゃないよ、2つ決める』と返してくれた。その夜、彼は本当に2ゴール決めたの」(アンドラーデさん)

 結局、ロンドン五輪ではブラジルは決勝でメキシコに負けた。だが今回、自国開催のW杯では世界最多記録を更新する6度目の優勝をネイマール選手がブラジルにもたらしてくれると、ネイマールゼテスたちは信じているのだ。(c)AFP/Madeleine PRADEL