■スアレスは緊張に耐えられない

 フォーセット博士によれば、こうした人物は通常、セラピーを数度受診することで変化していくが、スアレスの場合はこの問題が心の奥深くに根ざしているため、それだけでは足りないという。

「ああしたやり方は、生来のものという気がします。心理学者と何度か面接するだけで、矯正できる類のものではない。リバプールではいい調子でリハビリが進んでいたようですが、こうして再発してしまった。また起こる可能性は高いでしょう」

 フォーセット博士は、この問題について、すぐに解決する見込みは薄いと話している。

「彼の中にあるものです。例えばこれから5年の間、何か気に障ることや心にひっかかることがあれば、異なる状況であったとしても、おそらく同じ行動を取ると思います」

 膝の負傷からわずか1か月で復帰を果たした19日のイングランド戦では、2得点を決めてチームの2-1の勝利に貢献し、良い方の面を見せたスアレスだが、一方では、ウルグアイのテレビ局に対し、イタリア戦での事件は騒ぐようなことではないと話している。

 スアレスは、ウルグアイのテレビ「Channel 10」に対し、「ピッチ上ではよくあることだ。エリア内には僕たち2人しかいなくて、彼の肩が僕にぶつかった。そのせいで、目も(右目の下が腫れているのを見せて)こうなった」とコメントした。

 フォーセット博士は、さまざまなものがのしかかる緊張度の高い試合で、カッとなりやすいスアレスには、自分を抑えることができないと付け加えた。

「スアレスは才能あふれるサッカー選手ですが、張りつめた状況ではとても危うい存在です。そして、イタリア対ウルグアイは、いつだって激しい試合になる」

(c)AFP