【6月17日 AFP】大規模な密猟によりアフリカ大陸の複数の国からゾウが絶滅する可能性がある──絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約「ワシントン条約(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and FloraCITES)」の事務局がこのほど警鐘を鳴らした。

 2013年、2万頭以上のアフリカゾウが密猟され、その象牙は1キロ当たり数千ドル程度でアジア地域の国に売却されたという。

 ここ最近では、組織的な犯罪シンジケートと反政府武装勢力が資金調達のために密猟に関与するケースが急増。象牙を装飾品や伝統的な薬の原料に使う中国からの需要も相まって、密輸の市場規模は数十億ドルに拡大している。

「われわれは1つの産業にまで発展した密猟・密輸と闘っている」と、同事務局のジョン・スキャンロン(John Scanlon)氏は記者団に語った。

 ゾウの密猟が最も横行しているのは、アフリカ中部地域で、過去10年で全生息数の約60%が失われたとされ、このままいけば、向こう10年でアフリカ中部からすべてのゾウがいなくなってしまう可能性があるという。

 アフリカ西部でもこの問題は深刻だ。東部のソマリアやスーダンと同様、西アフリカのセネガルでもゾウが絶滅している。

 アフリカ西部でそれなりの頭数が生息しているのは、トーゴ、ベニン、ブルキナファソ、ニジェールにまたがる保護区域のみだ。

 13年の密猟件数は、過去数年間に比べて若干減少している。しかし、この動きは、それまでの10年間にみられた増加傾向に落ち着きがみられ始めたに過ぎない。

 2011年は約2万5000件、2012年は約2万2000件だった密猟。13年は2万件にとどまったとはいえ、この数字がいまだに「危険」な水準であることには違わないとスキャンロン氏は強調する。

 ワシントン条約事務局によると、20世紀初めのアフリカ大陸には、約1000万頭のゾウが生息していたが、1980年までに120万頭になり、現在では約50万頭しか生息していない。