【6月15日 AFP】ケニア南東部ツァボ(Tsavo)国立公園で先月、アフリカ有数の巨大なゾウとして有名だった「サタオ(Satao)」が密猟者の毒矢で負傷し、死亡した。関係者らは14日、「旧友」の死に哀悼を表明した。

 ツァボの自然と野生動物の保護に携わっている「ツァボ・トラスト(Tsavo Trust)」は13日遅く、「最も象徴的で深く愛された牙の持ち主」だったサタオの死を「大きな悲しみを込めて」公表した。

 密猟者らはサタオは顔の部分を切り取り、牙を持ち去っていた。サタオを長年追跡していた関係者らは耳などの特徴を手掛かりに、今月に入って発見されていたゾウの死骸がサタオであると断定した。サタオは45歳前後と推定されていた。

 サタオの死は、象牙を狙って急増しているゾウの密猟の最新の事例だ。ワシントン条約(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and FloraCITES)事務局は13日、大規模な密猟により、アフリカ諸国の多くでゾウが絶滅しつつあると指摘したばかりだった。

 CITES事務局によると、密猟の標的となったアフリカゾウは昨年だけで2万頭余り。象牙はアジアで1キロ当たり数千ドル(数十万円)の高値で取引されている。

 犯罪組織や反政府武装勢力は、アフリカでの活動資金の調達手段として密猟への関与を深めており、中国の象牙需要に乗じて利益を上げようとしている。中国では象牙が装飾品や伝統薬に使用されることから、密輸額が数十億ドル(数千億円)規模に膨らんでいる。(c)AFP/Peter MARTELL