■店を持つ夢を低コストで叶える

 リーさんは長い間、自分の店を持つのが夢だった。もちろん、動かない店だ。だが金銭的に難しかった。

「事業計画書を書いたり、コンサルティング企業にも出向いてみて、資金面で私には無理だとわかりました」と、リーさんは振り返る。「トラックならもっと安く始められるし、私の性格にも合っているんです。変化が好きです、それにいろんな地域に行くのも好きですからね」

 30代のドナ・ハンドリー(Donna Hundley)さんもリーさんと同じくファッションが大好きな女性だ。リサーチした結果、カリフォルニア州(California)ではファッショントラックがトレンドになっていることに気が付いた。

 彼女は2013年9月、赤とグレーで彩ったファッショントラック「カーヴィー・チックス・チャリオット(Curvy Chix Chariot)」をオープン。古い郵便トラックを2200ドル(約22万円)で購入し、リフォームした。

 店名にも表れているようにハンドリーさんの店は、ぽっちゃり系の女性をターゲットとしたもの。若いデザイナーの服をそろえている。

「プラスサイズの服はいつも黒だったり花柄だったり、チーターの柄だったりと似たり寄ったりになってしまいます」と、彼女は笑いながら言う。「私は良いデザイナーと組んで、クオリティーの高いものを選んでいると自負しています」

 路面店を出すとなると、初期投資として50万ドル(約5000万円)程度必要になるが、ファッショントラックなら平均2万ドル(200万円)ですむと、ロモさんは言う。そしてその額の資金調達であればインターネットのクラウドファンディングで以前よりずっと簡単に集められる。

 トラックで出店する人の多くは、金儲けよりその仕事がやりたいからという情熱の方に重きを置いている。新しくトラックブティックを出す人の大半は女性だが、彼女たちの半数は、駐車料金や出店許可費用を賄うために本業を続けている。