【5月25日 AFP】ウクライナで25日、大統領選の投票が行われた。ソ連崩壊に伴って独立した同国を存亡の危機ともいえる状況に陥れ、東西の緊張状態を冷戦終結から最悪のレベルに至らしめた現状からの脱却を目指す選挙だ。

 投票開始後、首都キエフ(Kiev)と西部地域では高い投票率が記録されている。しかし、東部では投票所の大半は扉が閉ざされたままだ。ドネツク(Donetsk)州では2430か所の投票所のうち投票を受け付けているのはわずか426か所で、主要都市で開いている投票所は1つもない。

 数週間にわたって暫定政府に抵抗してきた親ロシア派勢力は、すでに掌握しているウクライナ東部の「ラストベルト(さび付いた工業地帯)」での投票を妨害するため、「必要ならば武力を行使する」と警告していた。

 一方、アルセニー・ヤツェニュク(Arseniy Yatsenyuk)暫定首相は今回の大統領選を1991年のソ連からの独立後、最も重要な選挙だとしており、3600万人の有権者に対して「ウクライナを守るため」投票に出向くよう呼び掛けている。

 暫定政府は有権者らの安全を保障するため、警官5万5000人以上と志願兵2万人以上を動員。このほか国際監視団の要員およそ1200人が、ウクライナの各地に配置されている。

 東部のドネツクとルガンスク(Lugansk)の両州での投票が難しいとみられることは、暫定政府当局も認めている。製鋼所や炭鉱が点在する両州では、今月11日に行った住民投票の結果を受けて、親ロシア派勢力がすでに共和国としての独立を宣言している。